先輩の代わりに行ったブローを、無言で濡らされ…こういう教育が普通だった十数年前。

独立して美容室経営者になった

美容師が書く経営ブログ

『ブローお願いします』

先輩から頼まれたパーマスタイルのブロー。

お客様ではまだ数回しか頼まれた事がないけど、やり切らねば。

脇汗をかきながら、

真顔にならないように口角あげながら、

痛くないように、

熱くないように、

自分なりに…

になってしまうけど、

なんとかやり切った。

そして先輩にバトンタッチ。

『〇〇さん、お願いします』

……………

お客様のもとに戻った先輩は、

仕上がりを一目見るなり、

スプレイヤーでお客様の髪を濡らし始める。

自分の未熟さを痛感し、

お客様に申し訳ない気持ち。

そして、あとで先輩に怒られるであろう怖さとは

また別な、

なんとも言えない喪失感が僕の胸の中に広がった、

十数年前の出来事。

よくある話

僕がアシスタントだった時の話です。

もともと器用ではなかった僕は、

なんどもこういうことがありました。

パーマを巻かせてもらったのはいいが、

無言で全部外され、先輩に巻き直しされた記憶も昨日の事のようによみがえります。

十数年前のカリスマ美容師ブーム。

まだ、今ほど美容室の数も多くなく、

求人をかければ人が集まった時代の美容室では

『よくある話』といってもいいかもしれませんね。

時代が変わり現代。

美容室の数が激的に増えているにもかかわらず、

美容師になりたいという若者は減り、

1年でかなりの数の新規オープンの美容室が潰れていると言われています。

教育の考え方が変わり、僕たちが育ったような育て方で、

そのまま今の若手に接しても通用しなくなったと感じています。

全員を集めて、同じ事を、同じ様に教えても、捉え方が違ってくる。

たった1度伝えただけでみんなに同じレベルになってもらうことは困難。

すぐに理解してくれる子もいれば、なかなか理解できない子も当然いる。

そういうことを教える側もしっかりと想定し

1人1人に適した教育の仕方を模索していかなくてはいけないのかな、と。

ま、そのあたりは今も昔も変わらないですけどねっ。

先輩次第

今は、

個人が得られる情報の量が昔に比べて莫大に多くなったのだから、

考え方も多種多様。

ひとつの事を教えるのに、

『なぜこれを覚える必要があるのか？』

『なぜこれはやってはいけないのか？』

から教える必要があると言われていますもんね。

教える方のスキルも重要視されています。

出来ないからヘルプに使わない。

出来ないなら向いてないんじゃん？

教えても出来ないから諦めた。

なんてさ、

ふるいにかけていられる状況じゃないんだ。

出来るようになるも、

出来ない…と心を折らせるも先輩次第。

『教えても出来ない』

じゃなくて

『出来るように教えられていない』

って考えられるようになれるかどうかだと思ってる。

うん、なろう。

どれだけ伝えられているか？

…なんだよ。

こちらがどれだけ本気で話を聞いて、

とことん付き合ってあげているか？

…なんだよ。

1回や2回、

10回や20回言って伝わってなければ、

それ以上、伝え方を変えて伝えればいい。

黙ってブローを直す。

黙ってロットを外す。

黙ってカラー塗り直す。

そういう先輩を今はあまり見かけなくなった？けど

今の子たちにはあってない育て方かもしれないね。

『このブローでは、なぜダメなのか？』

『なぜ、塗り直しになったのか』

『なぜ、なぜ、なぜ？』

根気よく、伝えていこう。

言い方を変えて。

資料を使って。

失敗しない仕組みを創る。

ありとあらゆる方法がある。

全部試すんだ。

必ず伝わる。

諦めたら終わりなんだから、さ。

…………………

って思いながら、今日も試行錯誤。

あーー、

教え上手になりたい。

…

…

…

うん、なろう(^^)