麺の伸び切ったカップラーメンを見て思った事。

独立して7年の美容室経営者が書く　

美容師ブログ

激動の日曜日

『よし、10分時間ができた！』

『急いでお湯を入れて、と』

スタッフルームに入った僕はすぐに行動に移した。

時刻は16時30分。

やっと昼食にありつける。

まったく途切れることの無いお客様の対応がひと段落した。

カラーの放置時間を狙ってカップラーメンにお湯を入れる。

『今日はお湯はまだ残っているな』

『昨日はお湯がなくなっているのに誰も補充していなくて最悪だったからなー』

カップラーメンを食べようと思っているのにお湯が足りない…

そんな事も今日はなかったようだ。

今日は日曜日。

ハッキリ言って忙しい。

昨日もそうだった。

ようやく空いたこの10分を逃したら食べる時間はもうなさそうだ。

何としても食べておきたい。

そしてその後も頑張るぞ！

と、その時スタッフルームにアシスタントが入ってきた。

『あ、あの…』

ん、？どうしたの？と僕。

『前髪だけカットしたいんだけど、今すぐできる？って言うお客様が飛び込みでいらっしゃってますがどうしますか…？』

『小山田さんの指名のお客様です』

…

…

…

僕はお湯を入れたばかりのカップラーメンを見ながら思った。

…

…

…

次からはカップ焼きそばにしよう…と。

あの頃、描いていた自分

ご飯が食べれない程忙しい。

これがステイタスだったなぁ。

今そんな事言ったら笑われちゃうかもしれないけど。

ある時から考え方は変化してきたけど、20代の時はとにかく忙しくなりたかった。

麺が伸び切ったカップラーメンでも、

血糖値上げる為だけに口に放り込むチョコだけでも全然良かった自分がいた。

前回初めて担当させて頂いた新規客が、指名してくれた時の喜びは何ににも変え難い。

アシスタント時にもシャンプー指名やカラー指名でその喜びを感じる事は出来ると思うけど、やっぱり美容師の醍醐味はスタイリストになってからだと思う。

僕は自分自身、もともと休みにこだわりは無かったけど、スタイリストになったらもっと無くなった。

美容師になろうと決めた時頭に描いていたイメージを思い出してみると、

かっこいい手さばきでお客様を笑顔にしている自分の姿だった。

日々のサロンワークを続けているうちに日常にのまれ

『なりたい自分』

を忘れかけている人、いませんか？

20代の頃の話…

毎月、売上のランキングが発表される。

当時、いちばん重要視されていたのは指名売上だった。

フリーを何人担当しようと、ランキングの売上にはならない。

お客様から名前を呼ばれ選ばれなくてはならない。

ひとつでも順位を上げるには

ひとりでも多くの指名を頂く事。

だから指名に繋げるために

出来る事、ありとあらゆる事をやった。

休みは自ら返上。

仕事の為にタバコも辞めた。

帰り際にお渡しするカードにも指名を採る為の工夫をした。

自分ひとりでお客様をこなせないのは当時からわかっていたから、アシスタントには優しくした。

ご飯に連れて行ったり、練習を見たり。

もちろん時には強く言う事もあった。

それでも仲は良かったと思う。

自分の考え得るありとあらゆる事をやり続けたら数字は伸びた。

何百人といるスタイリストの中でTOP.10には入るようになった。

当時の僕にとってはほとんどが大先輩。

そうそうたるメンバーの中で、だ。

この勢いでやればもっとイケる！

そう自分を奮い立たせながら数字を追い続けたけど

…

…

…

結局僕は、

No.1にはなれなかった…

職業の選択は自由だからこそ

のんびり自分のペースで美容師をやりたい。

そう言う人が多いなぁ、と感じますし、

うん、別にいいと思うよ、っていいます。

福利厚生も充実させていきたいし、

休みも増やしたい。

と、同時に給料も…

その為には沢山からお客様のありがとうを頂かないと、ね。

職業の選択は自由。

だったら自分が楽しく働ける仕事の方が絶対にいい。

僕はこのブログで書いたように、

美容師の仕事に情熱を捧げられたから今も続いている。

今、アシスタントのあなたは、まずはスタイリストになろう。

世界が変わって見えるから。

アシスタントで挫折するなよ、もったいない。

今、スタイリストのあなたは、お客様に出来る事を全てやり切ってみよう。

無理そうなら期間を限定してもいい。

結果がでればますます楽しくなるから。

あーー、

No.1になりたかったなぁ。