【2店舗目の葛藤】まだまだだよ。。

愛される美容室経営

市川/東船橋アヤラ小山田絢一

【美容師イチロウ物語】

新卒で入社した美容室で働いて10年。

イチロウは独立を決意した。

想いをカタチにする決意をしたのだ。

独立して自分の店をもってからも熱い想いは途切れることなくさらに大きく燃え続けた。

毎日一生懸命働いた。

お客様やスタッフの為になる事は何でもやってきた。

家に変えればパソコンとにらめっこ、自分の時間もほとんど仕事に費やした。

経営者とプレイヤー、二足のわらじを見事にやり遂げているように見えた。

イヤ、正確には経営はシロウトだったが、勉強しながら少しずつ両立させてきた。

その甲斐もあってか、数年後にはお席が満席になるほどの人気美容室に成長した。

顧客もスタッフも増え順調そのものと思われた。

そして独立から5年、イチロウは2店舗目を出店した。

2店舗経営

２店舗の経営者になったイチロウは毎日考えていた。

もちろん、お店の事を、だ。

まず頭の中を整理する為に、なぜ自分は2店舗目を出店しようと思ったのか紙に書いてみた。

◆スタッフが育ってきたから活躍する場を与えたい

◆店舗数を多くし仕入れや商談で強くなりたい

◆自信のある技術、接客をもっと多くの人に知ってもらいたい

◆会社環境、福利厚生をより良くしたい

◆1店舗だけではこの先何があるのかわからない

◆よさそうな物件の話がタイミングよく舞い込んできた

◆自分の夢でもある

今も昔も変わらない、熱い想いが溢れ出してきた。

全部達成したい。

心からそう思う。

しかし現実はどうだろう？

イチロウは頭を抱えた。

◆スタッフが育ってきたから活躍する場を与えたい

活躍する場を与えるにはもっと客数が必要だ。

自分が異動した分、既存店の客数は落ち込んでしまったのだ。

◆店舗数を多くし仕入れや商談で強くなりたい

2店舗程度で商談に強くなるほど甘くはなかった。

コストを下げようと大量発注で在庫過多に悩む事すらあった。

◆自信のある技術、接客をもっと多くの人に知ってもらいたい

知ってもらうためにはSNS、ブログにもっと力を入れなければ。

まだまだ、知られていない。

◆会社環境、福利厚生をより良くしたい

福利厚生、給料をよくするためにも会社を強くしないと。

今は2店舗分の経費がかさみ、1店舗時より利益率が下がっていた。

福利厚生を充実させるどころか経費削減も視野に入れなければならなかった。

◆1店舗だけではこの先何があるのかわからない

2店舗だから安心なんていう事は全くなかった。

スタッフ数が増えた事によってますます責任感が増した。

満足に達成している事なんて何一つないではないか。

1店舗目の時には見えなかった2店舗の裏が見えてきた。

店舗が増えた事により、スタッフ達に自分の考えが伝わりにくくなったようにも感じた。

1店舗の時は朝から毎日スタッフ達とも顔を合わせていたが、

今では毎日というわけにはいかなくなったのもあると思う。

コミュニケーション不足。

その言葉が頭をよぎった。

頭の中は常にいっぱいだった。

すごいね

2店舗目を出店しました。

そういうと誰もがこう言ってくれる。

『すごいね！』

『楽しそうだね！』

『絶好調だね！』

そう言ってもらえるのは本当に嬉しい。

だけど思った。

まだまだだよ、と。

まだまだやることがたくさんあるからその言葉を素直に受け取るのはまだ先かな。

まずはより多くのお客様に自分の店の事を知ってもらい、

より多くのお客様からありがとうを頂く事。

その歯車が、噛み合えばおのずと回転してくる。

お客様がいなければスタッフ満足もなしえない。

スタッフ満足がなされていれば、お客様満足にも拍車がかかる。

課題は多く、決して順風満帆ではないが、

イチロウは後悔はしていない。

彼は根っからのアスリートだからだ。

ハードルが高いほど燃えてくる。

誰かが聞いた。

『イチロウさんの目標は？』

イチロウはサラリと答えた。

『まずは5店舗』

これからもイチロウを追っていきたいと、そう思う。

さぁ、

ガンバろっ。